パスタやピザのイメージが強いイタリアですが、米も私たちが思っているよりも食べられています。
イタリアの北部はアルプス山脈からの雪解け水を使った米作りが盛んです。
意外なことに米の自給率は100%で生産量の半分は輸出するほど。
よく知る料理だとリゾットやライスコロッケなどですが、他にもサラダに入れて食べられたりしています。
米が食べられている意外な理由
米がよく食べられている理由のひとつとして、ヨーロッパなどで急増してきている小麦アレルギーやセリアック病です。
ポイント
セリアック病は麦類のタンパク質であるグルテンに対してアレルギー反応が起こります。
少量でも重い症状があらわれる可能性があります。
遺伝的な要因で発症し、イタリアでは100人に1人という高い割合です。
そのためグルテンフリーのパスタなどが売られていて、スーパーで容易に見つけることができます。
米にはグルテンは含まれていなので、セリアック病の人も小麦アレルギーの人も気にしなくて済みます。
イタリアの米の特徴
イタリアでは米は1kg程度のものが、真空パックになって箱詰めされて売られています。
しかも、種類がかなり豊富で料理によって使い分けるようです。
調理法も炊飯器のようなものはなく、パスタのように塩水で茹でて食べます。
米を研ぐ必要もありません。
サラダに使う場合には茹でた米を水で洗って使う・・・文化の違いですね。
また、芯が残るような状態であるアルデンテが米にも求められるので、水分が少ない古米の方が好まれ、水分が多く含まれている新米の方が安いということになっている。
お米の種類
世界で栽培されている米は大きく分けると
- ジャポニカ米
- インディカ米
ジャポニカ米
米粒が丸くて短い形をしており、大きさも意外といろいろある。
日本人が普段食べているのはこのジャポニカ米。
水分をよく含むため、炊いた時に柔らかくふっくらと炊き上がりツヤがでます。
弾力と粘り気がインディカ米とは大きく異なる部分。
インディカ米
世界での生産量の80%はインディカ米なのである。
実は世界の主流はこっちの品種なのだ。
長細い形をした米で、炊いてみるとパラパラとして水分や粘りがが少ない。
そのため頑張っておにぎりにしようとしてもポロポロと崩れ落ちるだろう。
インドやパキスタンなどでよく食べられているお米です。
オリジナリオ:Originario(一般種)
ジャポニカ米なので日本のお米に近い特徴がある。
真珠色の粒は小さくて丸い。
加熱すると水分をよく吸って粘りがでるし、芯まで火が通るのでアルデンテを求めるような料理には使えない。
そのためミネストローネに入れたり、デンプン質によって口当たりが滑らかになるのでライスケーキのようなデザートなんかにピッタリ。
1キロで1.1ユーロなので相当安い。
セミフィーノ:Semifino(準上質種)
丸みのある米粒で、大きさは普通くらい。
加熱してもしっかりと形を保つことできるのでミネストローネやリゾット、ライスコロッケなどに向いている品種。
Vialone Nano
中粒サイズのジャポニカ米の一種で、日本人になじみのある丸くて厚みのある米です。
リゾット特化型の米と言える特徴があります。
ソースをよく吸う
米の表面は多孔質になっており、米の重量の2倍も水分を吸い込むと言われています。
煮崩れしにくい
水分をよく吸収するけどアミロースが豊富なので、煮込んでも形は綺麗な形状を保ったまま。
そのうえで中心は硬めのアルデンテに仕上げることができるタイプ。
食感が良い
粘り気は少ない品種なので、煮込んでも粒がくっつきにくいので鍋にもくっつかない。
べたつかず軽い仕上がりなのにでんぷんが多いので、リゾットにした時にクリーミーな味わいになるのが特徴です。
クリーミーな魚ベースの料理に相性が良いようです。
ライスサラダに使っても他の素材の邪魔にならない。
フィーノ:Fino (上質種)
米粒が細長く尖った形をしていて光沢がある。
加熱しても崩れないのでリゾットやライスサラダに使われる品種。
他にもピラフや野菜詰めなんかでも使える。
リーベ
- イタリアの米
- 米国の長粒米
- イタリアと日本の短粒米
これらを交配して作られたお米です。
細かくて丸みがある細長い米でどんなレシピにも合う多用途タイプの米ですね。
ミネストローネやパエリアのようなスープ系のお料理に向いているようです。
品種としては特にパーボイリングに適している品種。
デザートには向いていない。
スーぺルフィーノ:Superfino(最上質種)
米が細めで大きくて長い、米の先端が細長く尖っているのが特徴。
日本と比べると米粒がデカく感じる。
大きい割には火のとおりが良いが、ちゃんと中心に芯が残るのでアルデンテに仕上げることが出来る。
加熱しても崩れたりしないし、適度に粘り気がでるのでリゾットに最適な品種。
粒がデカいこともあり調理に15〜18分かかるのでちょっと長いほう。
アルボリオ(Arborio)
イタリアのピエモンテにある町の名前アルボリオが由来。
日本でいうと「あきたこまち」となずけたようなもの。
米粒は短粒米なので日本のコメのような形をしているが、サイズは大きめ!
重量の5倍の水分を吸うと言われており、料理してもちゃんと中心部はアルデンテになるのでリゾットに向いている。
味わいはクリーミーな味わいに仕上がるのし、デンプンが多いのでもっちりとした触感と歯ごたえがある。
ライスプディングに使われるのがこのアルボリオ。
カロナローリ(Carnaroli)
イタリア北部地方で作られている中粒の太くて長い形の米で、イタリア料理で広く使われています。
でんぷんの成分のひとつであるアミロースが多く含まれている米で、粒が大きめにも関わらず加熱しても粒が煮崩れしにくいかなり硬めの品種です。
リゾットなどでよく使われ、じっくり煮込んでソースをしっかりと吸わせることが出来ます。
食感はしっかりとしており粘り気は少ないので、サラッとして扱いやすいためサラダにも最適。
高アミロースの米は消化がしにくいので血糖の急上昇が起こりにくいので、気にしている人には適した米になります。
ローマ
ローマ米という品種だと思ってもらえばいいと思います。
大きくて丸みのある細長い米でデンプンの割合が多くなっています。
水分を吸い込みやすい品種なのでリゾットに使ったりホワイトソースと組み合わせたりするのに向いています。
リゾットやティンバッロに最適
香り米
インディカ米の中で米から華やかな香りがする品種が存在する。
それが香り米である。
名前の通り花のような香りが米から発せられる品種で、日本人が知ってそうなのはジャスミンライスが有名だと思う。
香りを付けているわけじゃなく、稲穂の地点でいい香りがする米で最も高価な米として流通している。
バスマティ
バスマティはインドやパキスタンの伝統的な品種。
インディカ米の中で高級品種で「コシヒカリ」みたいなものです。
かなり細くて長い。
炊くととってもいい香りがする。
ポップコーンのような香りとも表現されるが、においの感覚は人それぞれで受け入れられない人もいると思います。
GI値が低いので血糖値が上がりにくいのが特徴。
健康志向が高い人も選びたくなる品種。
ジャスミンライス
タイやカンボジアなどで作られている香り米。
ジャスミンライスというが花の香りがついているわけじゃなく、ジャスミンの花のように白いからとのこと。
実際にはオーツ麦のような香りがする。
味は少し甘みがあって、水分は多めで柔らかく少し粘り気があるタイプ。
日本人もそれほど抵抗はない味で、タイカレーなんかにとても良く合う。
残念ながら最大の特徴である香りが嫌いな人はいる。
食べ物の味は説明するより食べてみる!が一番わかるでしょう。
黒米(Gran Nero)
真っ黒な米粒が特徴のお米。
ブドウなんかと同じポリフェノールのアントシアニンによって真っ黒に見える。
中国原産の米でビタミンBやミネラルが摂取できる。
健康志向が高い人に好まれる。
赤米
粘り気のある長い米粒で赤い色が特徴的です。
糠が赤色なので完全に精米すると中身は真っ白なので、パッケージには赤色の玄米と書かれています。
赤色は紅茶と同じタンニンの色なので、味にも苦味が出てしまうため美味しさというよりは健康志向で食べる米と言えるだろう。
ミネラルが豊富でナッツのような香りがする独特なお米です。
まとめ
このようにイタリアは米へのこだわりが強く、料理に合わせてお米を選ぶという文化があります。
スーパーに行けばこれくらいの種類が普通のようで、イタリア人は全てを理解して選んでいるのでしょうか?
この他にもパーボイルドライスという加工米も存在します。