イタリア

本当のオリーブオイルができるまで【コールドプレス製法】

イタリアのシチリア島でホームステイさせてもらっていますが、オリーブオイルを作る工程を見ることができました。

オリーブはその実を絞ることでオイルが取れる貴重な植物です。

特別な化学反応的な加工は必要ありません。

今回は昔から行われている伝統的な製法、コールドプレスをお伝えします。

 

工場へ行こう

町には手数料を払うことでオリーブを絞ってオイルを抽出してくれる工場が存在します。

さすがイタリアです。

そのため、あまり大きくない農家さんや家の庭で取れたオリーブでも本格的な機械でオリーブオイルへと変えることができます。

 

なかなか迷惑な立地だなと思いましたが、おそらく昔からあるのでしょう。

工場は思ったほど大きくなく、町の住宅の中に普通にありました。

 

計量

袋に入ったオリーブオイルを量りの上にのせて、計量します。

これによって手数料が決まるのかな?と思います。

 

今回は135キロ収穫できたようです。

オリーブの木の大きさや実り具合などに大きく左右されますが、オリーブの木5本から取れました。

 

洗浄

オリーブを収穫する際には、一緒に葉っぱやら木の枝などがどうしても入ってしまます。
気にしないでそのまま袋に入れて持っていきます。

まずは、工場の洗浄機にすべてのオリーブをほりこみます。

ベルトコンベヤーに乗せられて少しづつ、機械へと入っていきます。

 

掃除機

まずは掃除機のようなところで、葉っぱが吸い込まれます。

オリーブはある程度重いので吸い込まれません。

 

水洗い

さすがにさまざまな汚れが付いているので、水洗いされます。

水洗いは何工程かを超えて、きれいに洗浄されます。

どのように中で洗っているかはわかりませんが、とても茶色い水が出ます。

 

つぶす

次にオリーブは粗くミキサーにかけられます。

粒が確認できるほどの大きさですが、皮も種もそのままペースト状にされます。

 

すり鉢

バカでかいすり鉢に粗くペーストになったオリーブが入ります。

大きな石の車輪がグルグル回ることで、ゆっくりとオリーブはつぶされます。

この方法は摩擦熱が発生しにくいのでオリーブの香りが飛んでしまうことなくペーストへと加工できるので、香り豊かなオリーブオイルが作れるのが、コールドプレス製法の特徴です。

 

もちろん、デメリットもあります。

空気に触れる面積が大きく、ゆっくりと時間をかけているので酸化しやすいという欠点もあります。

しかし、実際にその場にいるとやはり香りの違いは明らかです。

 

オリーブ特有のにおいがします。

不思議なことにさんまを焼いた時のニオイに似ていると俺は思います。

焼き過ぎたりしない、火が通ったくらいの時の香りです。

 

練り

オリーブオイルを作るうえで大切な工程が練りです。

文字通り、魚のすり身のように練ります。

機械なのでスクリューのような機械がまわってオリーブを練ります。

これによって油の分子同士がくっついて、大きな分子になるそうです。
そのため後ほど油を搾ったときにどんどん滴ることになります。

 

絞るための準備

オリーブを絞るためにプレスにかけて圧力をかけて絞ります。

その作業工程があります。

 

繊維でできたピザ生地のような物の上に、ペースト状になったオリーブ薄く乗せていきます。

乗せたら次のシートにオリーブを敷いて・・・を繰り返して何層にもしていきます。

意外なことに手作業でおこわなれ、積み重ねる作業を機械が行ってくれます。

 

 

移動

台車の上にしっかりと層が積み重なり、オリーブオイルがしたたり落ちています。

これをプレス機のところに移動して、ゆっくりと圧力をかけてオリーブジュースを絞り出します。
この地点はまだジュースです。

味見をしてみましたが、さわやかな美味しいオイルがにじみ出ていました。

味見してみましたが、強い苦みと渋さ、良い香り、ペッパーのような刺激が喉にきます。

このまま食用にすることは到底できません。

 

オイルの華?

圧力をかける前、積み重ねる工程だけでオリーブジュースが染み出てきます。

これをプレスする前に容器にとっておく、まさに一番搾りです。

ノンフィルター製法と呼ばれるエクストラオリーブオイルです。

すでに実とオイルと水分で分離が始まっています。

ボトルで持ち帰る

強く圧力をかける前のオリーブは透明度が高く、雑味がないので現地の人たちはこれをペットボトルに入れていました。

抹茶のような色をしていますが、これはオリーブジュースなのでオイルも水分も含まれています。

ちっさなフライパンで上の層だけすくいとることで、おそらく水分と油だけになっていると思われます。

しばらく置いておくとドレッシングのように水と油は分離して、上にオリーブオイルの層ができます。
これを一番搾りとしていただくようです。

非常に量が少なく、通常は市場に出回ることのない最も高品質なオイルです。

 

ゆっくりとプレス

ゆっくりとプレスすることで、雑味を残して、良いエキスだけを絞り出していいきます。

そのため、ちょっと時間もかかります。

オリーブジュースが染み出す

最初は透明度の高い緑色の液体が出てきますが、すぐに茶色い液体へと変わっていきます。

見た感じからおいしそうとは思えず、本当にこれがオイルなのか?と思ってしまいます。

裏側

きれいな側面ばかりを見ていてはいけません。

ジャッキの裏側です。
台車についた蛇口から茶色いしぼり汁が出てきています。

下のろ過装置へと流れ込んでいます。

とても汚い工場のようですが、油とオリーブだけなので汚くはない。

最終的には原油のような焦げ茶色の液体が出てきます。

 

プレス終了

最終的に400㎏の圧力をかけて終了します。

 

 

ぽますおいる?

オリーブオイルの搾りかすに化学的な処理をすることによって、わずかに残ったオイルをさらに搾り取ることが可能です。

それがオリーブポマスオイルです。

価格が安いのでコスパの良さが魅力とされています。

 

ポマスオイルの原料

この工場では使いませんが後ろの山のようなしぼったカス。

あの茶色いカスがポマスオイルの原料となるわけですが、これまでの工程を見てわかるように等級の低いオリーブオイルしかできません。

そのためオリーブポマスオイルにエクストラバージンオイルを15%ほど入れて、オリーブオイル感を出すわけです。

 

いや、これをオリーブオイルと呼ぶべきなのか?

残念ながら知らずに日本で買っていました。

安いのでいいなと思っていましたが、こんなものだったとは・・・

もう買いません!

 

分離する

オリーブジュースはオリーブの実をしぼっただけなので、ろ過装置を超えた後、この小さなろ過装置を超えて固形物をなくしていきます。

さらに、おかまのような形の遠心分離機によって油と水の層に分け、油だけを抽出します。

職人が何やら調節してくれるので、蛇口のところで待つだけです。

 

オリーブオイル完成

何工程も重ねてようやく、最終的な分離を終えてオリーブオイルがパイプから出てきます。

エキストラバージンオリーブオイルと言われるオイルです。

見た目は抹茶にしか見えません。
味は非常に滑らかで雑味はなく、豊かな香りがします。

店頭で見るのと違う?

私たちがスーパーマーケットで見る市販で見るオイルは、この抹茶のようなオイルをさらに、ろ過してクリアな緑色のオイルになるそうです。

濁っている成分はさまざまなものが溶け込んでいますが、日持ちしないのでこのまま製品として出荷すると劣化したり、腐ってしまうのでろ過することになります。

地元でしか味わえない魚と同じように、濁ったオリーブも収穫期の楽しみと言えます。

 

どれくらいとれるのか?

オリーブの実を135キロ収穫して、オイルになったのはおよそ30リットルくらい です。
意外と少ないものです。

オリーブの実の大きさや成熟具合でもオイルの量に差が生まれます。

オリーブの実は緑色から熟すと茶色から黒へと変化していきます。

ブラックなオリーブの実ほどオイルを含みます。

 

オリーブオイルの味

オイルがたくさん取れるなら熟したブラックオリーブになってから絞ればいいのでは?

と思ったのですが、そうではないようです。

ほとんどの農家の人たちはきれいな緑色オリーブを持ち込みます。

 

グリーンオリーブは黒よりも取れるオイルは少ないけれど、豊かな香りやスパイシーな味わいがします。

ブラックオリーブになるとオリーブオイルの特徴である香りや味わいがまろやかになってしまいます。
普通なオイルになってしまうということですね。

それだと意味がないので、オリーブオイルらしさを求めるならグリーンオリーブになるようです。

 

同じ味などないのでは?

専業農家さんのオリーブは色が違いますね。

工場の順番待ちをしている間に、いろんな農家さんのオリーブオイルを舐めさせていただきました。

不思議なもので、それぞれのお宅によって味は全く異なります。

また、すべてがグリーンオリーブだけということは不可能なので、それぞれの持ち込むオリーブによって割合も実の育ち方も違います。

そのため、すべての農家さんのオイルは違う味がすると言えるでしょう。
このあたりはワインに似ているのかもしれません。

 

ちなみに我々は・・・

俺のホストは農家ではなく、大きい庭で作っているオリーブなので収穫する時期も実り具合もまばらです。

結果的に3割くらいはブラックオリーブになってしまいました。

オリーブジュースを舐めてみましたが、強烈な苦みと渋み、スパイシーさですが、これはポリフェノールが多いという証拠です。
他の農家さんのものはジュースの地点で美味しいものでした。

一体なぜなのか。

当然、我々の物はペースト状になったときの色は茶色に近いものでしたが、精製後は美しい緑色のオイルができ、風味もわるくありませんでしたが、農家さんの色は圧倒的な深緑です。

 

収穫期の楽しみ

この搾りたてのエキストラバージンオリーブオイルをイタリアでは、家に持ち帰ったら伝統的な楽しみ方があるそうです。

  • オリーブオイル
  • アンチョビ
  • オレガノ
  • チーズ
  • バゲット

”アンチョビ”をお皿に取り出します。(アンチョビは鰯を塩とオイルで漬けた瓶もの)
これをオリーブオイルとオレガノでまぜまぜします。

バゲットにチーズをのせ、このオリーブオイルをつけて食べます。
鰯の塩見と豊かなオリーブオイルの香り、オレガノの香りが楽しめます。

非常に美味しい収穫期の一品です。

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